マンションの外壁塗装の疑問

手摺壁上端の塗料のひび割れ対策法

1980年ごろまでは、外壁はモルタル塗りをしていた時代でしたので、
廊下やバルコニーの手摺壁の上端は、
モルタル塗りで仕上げるのが一般的でした。

 

その後、外壁がモルタル塗りからコンクリート打ち放しに転換し、
手摺壁の上端もコンクリート直仕上げへと変化しました。

 

直仕上げは、打設したコンクリートが固まる前に、
表面をコテなどで均して仕上げる方法です。

 

コンクリートは数時間で固まるので、
仕上げに必要な時間が足りなくなってしまいがちで、
やむを得ず固まった後、モルタルを薄く塗って仕上げることもあります。

 

外壁のタイル張りが普及すると、
手摺壁の上端の仕上げのバリエーションが増えました。

 

タイルは、手摺壁の外側に張っても内側に張らないことが多いためです。

 

タイルをどこで止めるかで、デザインが変わってきます。

 

外側にL形のタイルを1列張り、内側はコンクリート直押さえの上、
吹付け材仕上げが多いので、下地に薄塗りのモルタルを塗ってもわかりません。

 

1980年ごろまでの手摺壁の上端のモルタル塗りは、
これが仕上げであって改めて塗装などの仕上げをすることはありませんでした。

 

ですが、10年も経つと、例外なくひび割れが生じ、
「浮き」も生じてしまいます。

 

補修すると、補修跡を目立たなくするために、塗装せざるを得ません。

 

塗装する場合、普通の外壁の塗替えと一緒に塗るということになります。
材料は、当然外壁に使用する塗料です。
ですが、外壁に使用する塗料をこの部分に塗ると、
3〜4年でひび割れが生じたり剥がれるなどします。

 

垂直な外壁と水平に近い手摺壁の上端の塗料の耐久性の違い

 

垂直な外壁と水平に近い手摺壁の上端では、
塗料の耐久性が全く異なります。

 

垂直な外壁と水平に近い手摺壁の上端での
塗料の耐久性が異なる理由としては、
雨水による影響の大きさです。

 

垂直な外壁では雨水でぬれても雨が上がればすぐに乾きます。
つまり、あまり水の影響を受けません。

 

ですが、降雨時に手摺壁の上端は、水の表面張力が働き水の膜ができます。
若干ですが、水圧がかかり、塗装下地のモルタルは吸水します。
ひび割れがあれば、吸水量は圧倒的に増え、
吸水すれば乾燥するのに時間がかかるため、水の影響を受けることになります。

 

手摺壁の上端は、壁と屋根のどちらに近いかというと、
屋根に近いといえます。

 

屋根のモルタルやコンクリートの表面に、
外壁用の塗料を塗っても長持ちしません。

 

手摺の上端に塗る塗料

 

手摺壁の上端は、屋根に近い箇所です。

 

その屋根に近い箇所に何を塗るかということに関しては、
最大の大規模修繕では、ウレタンゴム系塗料防水材を塗る例が主流になっており、
塗布量は、2kg/uが一般的です。

 

ウレタンゴム系塗膜防水材は、床用と立上り用があります。

 

床用は、平坦になるように流れる性質(セルフレベリング性)があり、
立ち上がり用は、流れ落ちにくい性質であるノンサグ性(チクソ性)があります。

 

手摺壁の上端は、手摺壁の上端は15〜20cm幅が普通です。

 

勾配は、外壁が汚れないようにするために、内側に例外なくとられています。

 

15〜20cm幅に床用のウレタンゴム系塗膜防水材を使用すると、
勾配に沿って流れ落ち、
ヘラを使って立ち上り用を塗布すればヘラムラが残ります。
ですから、下塗りに立上がり用のウレタンゴム系塗膜防水材を使用して厚みを確保し、
上塗りに床用のウレタンゴム系塗膜防水材を塗布して
ヘラムラを消すなどの工夫が必要になります。

 

また、ウレタンゴム系塗膜防水材には、1成分形と2成分形があります。

 

一般的に、屋根の防水には2成分形を使用しますが、
最近は、1成分形を使用する事も少なくありません。

 

1成分形は、床用と立上がり用を混合し、
塗りやすい粘土に調整することが可能なので、
手摺壁の上端などには1成分形を使用すると便利です。

 

一見、1成分形を使用すると、材料代はコストアップします。
ですが、手間を省き、効率よく施工することが可能になるため、
1成分形の使用は、トータル的にはコストダウンに繋がります。

 

手摺上端の防水の必要性

 

1960年代に建設された旧住宅公団のアパートの解体現場で調べたところ、
柱や梁、外壁、内壁などの鉄筋は全く発錆していなかったことが分りました。
ただ、唯一、バルコニーの手摺壁の上端の鉄筋が錆び、
針金状に細くなっている箇所がありました。

 

この部分の仕上げのモルタルは、
注入したエポキシ樹脂などが観察できたことから、
ひび割れや浮きを補修していたことが分ります。

 

ですが、塗膜防水材などで防水した様子はありませんでした。

 

手摺壁の上端は、面積としては微々たる部分ですが、
マンションの耐久性には大きく関係します。

 

上端からの雨水の侵入により、
コンクリートの中性化とは関係なく鉄筋は発錆しますから、
雨水の侵入対策、つまり防水が手摺上端にも必要であることがわかります。

 

この上端に、手摺金物のアンカー部分を埋め込んでいる事も多いですが、
この部分に雨水が侵入すれば、当然アンカーが発錆膨張し、
周囲のコンクリートがかけ落ちるなど鉄筋腐食損傷と同じ損傷が生じてしまいます。

 

アンカーの発錆を防止するためにも、
雨水の侵入対策、つまり防水が必要です。

 

廊下やバルコニーの手摺壁になっていない立上がりの天端も、
同じことが言えますし、
屋上のパラペット天端と呼ばれる部分も同じ用に防水が必要です。

 

コーピングと呼ばれるアルミ製の笠木を取り付けるという方法が、
屋上パラペット天端の防水の納まりの一つとして用いられています。

 

手摺と笠木が一体となったものを
廊下やバルコニーの立上りの天端にも取り付けるのは、
防水対策としてとても有効な方法であるといえます。