マンションの外壁塗装の疑問

外壁防水材の種類

外壁防水材の転換

 

アクリルゴム系塗料防水材が開発されたのは、
1970年代初めの頃です。

 

塗膜防水材は、酢酸ビニール樹脂系が草分けの材料でした。

 

酢酸ビニール樹脂系に続いて、アクリル系樹脂が登場します。
そして、ウレタンゴム系が開発されましたが、
このウレタンゴム系が急速に普及し、
先に登場した材料を駆逐してしまったのです。

 

そして、ウレタンゴム系に続き登場したのがアクリルゴム系です。

 

アクリル樹脂系と区別する必要があるので、
「アクリルゴム系」と呼んでいます。

 

アクリルゴム系は、屋根用として発売されましたが、
次第に外壁用も開発され、
現在はJIS A 6021「建築用塗膜防水材」の中に、
屋根用と外壁用の2種類に区別し、規定されています。

 

ウレタンゴム系が2成分反応系、または1成分溶剤形ですが、
アクリルゴム系は、1成分エマルション形、つまり水性です。

 

アクリルゴム系の屋根用と外壁用の違い

 

アクリルゴム系の屋根用と外壁用の違いは、
屋根用は床面に塗った時に流れて平坦になる性質がありますが、
外壁用は立ち上がり面に塗っても流れ落ちないように材料設計がされているところにあります。

 

流れる性質を、レベリング性といい、
流れ落ちにくい性質を、ノンサグ性、或いはチクソ(チクソトロピック)性といいます。

 

つまり、外壁用は、チクソ性を付与しています。

 

アクリルゴム系塗膜防水材外壁用の塗り方

 

アクリルゴム系塗膜防水材外壁用は、吹付け、或いはローラー刷毛塗りで施工します。

 

日本建築学会建築工事共通仕様書では、
防水層の平均膜厚は、1mmとしていて、塗布量を1.7kg/uとしています。

 

・吹付け工法

 

吹付け工法であれば、この規定の塗布量を一回吹きで施工することが可能です。
ですが、このままの状態では吹き継ぎが目立ってしまうので、
さらに0.5kg/u程度の模様吹きをし、模様をそろえます。

 

・ローラー刷毛塗り

 

ローラー刷毛塗りでは、この量を3回塗りで施工します。

 

仕上げは砂骨ローラーまたはマスチックローラーと呼ばれる
ローラー刷毛で塗布し、模様をそろえます。

 

吹付け工法とローラー刷毛塗りの前工法

 

吹付け工法も、ローラー刷毛塗りも、それぞれ前工法として、
接着性を高めるためにプライマーを塗布し、
仕上げの工程にトップコートを2回塗りします。

 

塗った面は、ちょっと見ただけでは、
吹きつけ材と同じように見えるので見分けはつきません。

 

また、表面を爪で押してみると、軟質であることが分ります。
トップコートも軟質で、爪で押しても割れることはありません。

 

外壁用防水材は、タイル張りの上に施工する防水材としては適さず、
コンクリート下地、またはモルタル塗り下地に施工します。

 

透明にすることはできないので、
仮にタイル張りの上に施工すると、タイルの上に塗装した状態になり、
高級感は失われてしまいます。

 

また、防水材の上にタイル張りをするにも、
塗膜の強度不足のため、使用することができません。

 

防水材

 

防水材には、JIS A 6021「建築用塗膜防水材」外壁用のほかに、
JIS A 6909「建築用仕上塗材」防水形があります。

 

なんだか紛らわしい材料ですが、
このJIS A 6021「建築用塗膜防水材」外壁用と
JIS A 6909「建築用仕上塗材」防水形の違いに、
防水業界が推進した規格と、塗装業界が推進した規格の
二つの規格があるため、紛らわしくなっているようです。

 

JIS A 6021「建築用塗膜防水材」外壁用と
JIS A 6909「建築用仕上塗材」防水形の違いは、
「建築用塗膜防水材」は、コンクリートに幅0.3〜0.5mm程度のひび割れが生じても、
長期間に渡って塗膜が破断しないことを期待していることに対し、
「建築用仕上塗材」は、コンクリートに幅0.1〜0.3mm程度のひび割れが生じても、
塗膜が破断しないことをし対しているというところにあります。

 

このように、ひび割れ追従性を期待するためには、
塗膜に伸びる性質がなければ叶いません。

 

ゴムと呼べる材料は、本来軟質の材料ですが、
本来硬質の材料であっても軟質にすることは可能です。
それは、軟質にするための可塑剤と呼ばれる材料を加えるという方法です。

 

ですが、可塑剤は、低分子の材料なので、
徐々に大気中に揮散し、失われてしまいます。

 

とはいっても、例えば溶剤のように早く揮散してしまうわけではありませんが、
10年も経てば可塑剤は半分しか残っていない、
或いは殆ど残っていないということになりがちです。

 

つまり、はじめは柔らかく、ひび割れ追従性が合ったものが、
年数が経つとパリッと割れてしまうような硬く伸び性能が低下したものに
変質してしまうということが分ります。

 

可塑剤が含まれている材料は、
「建築用塗膜防水材」の規格をクリアすることが難しいのですが、
しかし、絶対にクリアできないというものではありません。

 

建築用仕上塗材は、簡単にクリアすることができます。

 

材料に、可塑剤が含まれているかどうかの表示義務はないので、
カタログを見ただけでは分りません。
メーカーに問い合わせるなどして、可塑剤を含んでいない材料を使いましょう。
また、成膜した塗膜に50%以上の樹脂製分が含まれていることも確認してください。

 

建築用仕上塗材

 

建築用仕上塗材には、福層形と単層形があります。

 

・福層形

 

福層形は、トップコートを塗布します。

 

・単層形

 

単層形は、トップコートを塗布しません。
また、単層形は、弾性塗料と呼ばれることがあり、
ローコストが歓迎され、1980年代にはよく使用されていました。

 

ただ、トップコートを塗らないので、
若干べたつく性質(タック)が残り、汚れが付きやすいという欠点があります。

 

建築用塗膜防水材外壁用

 

建築用塗膜防水材外壁用は、1970年代に普及し始め、40年が経ちました。

 

可塑剤が含まれていない材料であれば、
トップコートを塗り替えるメンテナンスを行い、
35年以上維持できるという実績が確認されています。

 

撤去塗替えを行うとしても、防水層は露出していますから、
あまり難しい工事になるということはありません。

 

最も重要なのは、鉄筋コンクリートの耐久性を半永久的にするため、
防水性能をなるべく長く維持することです。