マンションの外壁塗装の疑問

外壁リニューアルの工事保障

外壁リニューアルの工事保障はどのようになっているのでしょうか。

 

ある大規模修繕工事の仕様書を抜粋してみます。

 

『(1) シーリング工事

 

     5年間(漏水・剥離)

 

 (2) 躯体補修工事

 

     5年間(補修部の欠落・鉄筋露出・漏水・補修部分のタイルの剥離)

 

 (3) 内外壁塗装工事

 

     5年間(剥離・著しい変退色)

 

 (4) 天井面塗装工事

 

     3年間(剥離・著しい変退色)

 

 (5) 鉄部塗装工事

 

     2年間(剥離・発錆・著しい変退色)

 

 (6) 防水改修工事

 

   @ アスファルトシングル葺防水

 

     10年間(剥離・膨れ・漏水・著しい変退色)

 

   A アスファルト露出防水冷工法

 

     10年間(剥離・膨れ・漏水・著しい変退色)

 

   B ウレタン複合防水通気工法

 

     10年間(剥離・膨れ・漏水・著しい変退色)

 

   C ウレタン塗膜防水(3mm)

 

     10年間(剥離・膨れ・漏水・著しい変退色)

 

   D ウレタン塗膜防水(2mm)

 

     5年間(剥離・膨れ・漏水・著しい変退色)

 

   E 長尺塩ビ系シート+ウレタン塗膜防水併用工法

 

     5年間(剥離・膨れ・漏水・著しい変退色)

 

   F 建築他改修工事

 

     1年間(機能低下)』

 

 

(1) シーリング工事

 

大規模修繕工事は、新築工事とは異なり、
品確法が適用されません。

 

ですから、シーリング工事は、
品確法による保証期間10年間を、半分の期間の5年間に短縮しています。

 

「品確法」以前は、シーリング業界団体の統一見解で、
新築・改修を区別せず2年間としていました。

 

ですが、新築工事10年間、リニューアル工事2年間では、
あまりにも差があり、せめて5年間にして欲しいという発注者側の意向に対し、
施工者側も妥協せざるを得ない状況になっています。

 

ですが、統一見解が変わったわけではないので、
3者連名の保証書として、必ずしも合意が整うとは限りません。

 

ですから、施工会社やメーカーが同意しないことがある場合を想定し、
『ただし、連帯保証が困難なものは、請負者の単独保証とする』としています。

 

 

(2) 躯体補修工事

 

躯体補修工事の5年間保証は、コンクリートのジャンカなどを補修した箇所の欠落、
鉄筋腐食損傷(爆裂)箇所を補修した箇所の不具合が対象になります。

 

また、ひび割れ補修箇所の不具合も対象です。
ひび割れ補修は、「セメントフィラー擦り込み補修(幅0.3mm未満)」、
エポキシ樹脂低圧注入工法による補修(幅0.3mm以上1.0mm未満)」、
「Uカットシーリング補修(幅1.0mm以上)」の3種類の補修方法があり、
漏水を含む不具合が対象になります。

 

タイル補修は、ひび割れしているタイルなどをはつり撤去し、
張り替えた箇所が剥離した場合に対象になります。

 

(3) 内外壁塗装工事、(4) 天井面塗装工事、(5) 鉄部塗装工事

 

(3)〜(5)は、塗装工事になります。

 

外壁の剥離、及び著しい変退色は5年間、
天井の剥離、及び著しい変退色は3年間、
鉄部は剥離、及び著しい変退色に発錆が加わって2年間が保証期間になります。

 

天井は外廊下、バルコニーの上げ裏が含まれるので、
漏水というほどのものではなく、少し湿る程度であっても、
塗料の剥離や変色が考えられるので、
外壁よりも短い期間になっています。

 

鉄部の2年間は短すぎますが、
長年の慣習により、このようになっているようです。
OP或いは合成樹脂調合ペイントを塗っていた時代は、
やむを得ない面がありましたが、
アクリルウレタン樹脂塗料を使用している場合は3年にすることは可能です。
とはいっても、鉄部も10年耐久5年保証を目指すのが理想です。
そうすれば、鉄部塗装も10年後との大規模修繕のサイクルに合います。

 

リニューアル工事の保障期間の考え方として、
新築よりも短くて当然というものがあります。

 

このように新築よりも短くて当然という考え方の根拠は、
どのような躯体コンクリートなのか分らないというところにあります。

 

ですが、例えばひび割れの場合、
どこに乾燥収縮、ひび割れが生じるか分らない新築のコンクリートと比べると、
10年、20年、或いはもっと長年が経ったコンクリートでは、
ひび割れは発生するところに発生し、
新たに発生する可能性はとても低いです。

 

ですから、発生しているひび割れの対策を重点的に行うことによって、
不具合が生じるリスクを減らすことができます。

 

つまり、リニューアル工事の保障期間は、
新築よりも長くて当然という考え方が成り立ちます。

 

価格競争が厳しい昨今、保証内容、サービスの内容について競争する意識は、
建築業界にはないという状況があります。

 

ローコストを求めている人だけでなく、
妥当なコストで良質のサービスを求めている人も多くいます。